Click here to read my article, which made front-page in The Asahi Shimbun morning edition, on the planned permanent exhibit on the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki–coming to the Smithsonian’s National Air and Space Museum in 2025. There is also an English version, about which I will make a separate post. This news was never-before-reported, and when our article was published, the museum immediately started getting calls from media and other interested parties. This article marks my second byline in a Japanese article for Asahi.
原爆投下後の写真、スミソニアン博物館が展示計画 世論反発の過去も
ワシントン=清宮涼/取材協力=エイダン・リリーエンフェルド2023年7月31日 5時00分
米国立スミソニアン航空宇宙博物館が、原爆投下後の広島と長崎の街を映した写真を新たに展示する計画をしていることがわかった。従来は国内世論への配慮から、原爆の被害をめぐる展示はしていなかった。2025年に展示を刷新するのを機に、爆撃を受けた側の視点の紹介に踏み込む予定という。
スミソニアン航空宇宙博物館は25年までに改修や展示の刷新を予定している。取材に応じたアソシエートディレクター、ジェレミー・キニー氏によると、この一環として25年、第2次世界大戦関連の展示の一つとして、ワシントンの本館で広島に投下された原爆「リトルボーイ」の模型の展示を行う。あわせて原爆投下後の広島と長崎の街の写真を展示する予定だ。
原爆の被害に言及することも検討している。科学者による原爆投下への反対など、当時の米国内の原爆をめぐる議論についても紹介する方針。ただ、被爆者の写真や遺品の展示には踏み込まない見通しだ。
第2次大戦終結から50年にあたる1995年に向け、スミソニアン博物館は、広島に原爆を投下したB29爆撃機「エノラ・ゲイ」とともに、広島と長崎の被爆資料を展示する原爆展を企画した。しかし、退役軍人団体などが、米世論に根強い「原爆投下の正当性」に疑念を抱かせかねないものだとみて強い危機感を示し、計画の撤回を求める運動を展開。有力政治家やワシントン・ポストなど主要紙も同調した。
95年1月、原爆展は事実上の中止に追い込まれ、5月には当時の館長がこの問題をめぐって辞任した。03年からは、バージニア州にある博物館の別館で「エノラ・ゲイ」が復元展示されてきたが、「戦争で使われた最初の核兵器を落とした」などと説明するだけで、原爆の被害には触れていなかった。広島市は03年当時、原爆被害の説明を加えるよう、博物館側に要望を出していた。
広島と長崎の原爆投下後の写真の展示が実現すれば、博物館にとっても時代の変化を映す一つの転換点となる。
キニー氏は原爆展が事実上の中止に追い込まれた90年代の「スミソニアン論争」について、「博物館の歴史において、極めて重要な瞬間だった。異なる視点を遠ざけたのではないかという疑問もあった」と振り返る。25年までの博物館の刷新にあわせ、「あらゆる背景を持つ来館者に様々な見方を提供し、第2次大戦をどうとらえるかについての説明を広げたいと考えた」と述べた。
「原爆投下により、侵略戦争を始めた日本の降伏を早め、日本本土侵攻で多くの米兵の犠牲が出るのを防いだ」といった「正当化」の主張には多くの歴史家が疑問を示してきたが、米国内では、その声がいまだに根強い。それでも、2025年は、第2次大戦終結から80年となる。1995年当時と比べ世代交代が進み、退役軍人団体などからの反発が和らいでいるとみられることも、新たな展示計画の背景にある。
原爆投下直後の45年8月、米ギャラップ社が世論調査を行い、「日本への原爆使用を支持するか」と尋ねると、米国人の85%が「支持する」と答え、「支持しない」はわずか10%だった。一方、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが15年に行った世論調査では、「原爆使用は正当だったか」との質問に対し、米国人の56%が「正当だった」と回答。「正当ではなかった」は34%だった。この際、65歳以上の7割が「正当だった」と答えたのに対し、18~29歳では47%にとどまり、世代による意識の変化も明らかになっている。
キニー氏は「人々が原爆投下について客観的に語れるように、時代が変化した」と語った。新しい展示を計画しているワシントンの本館は、米国内外からの観光客が特に多い場所でもある。「スミソニアン博物館は米国人だけではなく、国内外の訪問者のためのものだ。あらゆる訪問者に敬意を払いたい」として、被爆国の日本からの訪問者にも配慮したと述べた。
米国人の原爆観に詳しい米デュポール大の宮本ゆき教授は、国立のスミソニアン博物館について、「原爆投下が戦争を終わらせ、米国人の命を救った」という国としての「物語(ナラティブ)」を伝えてきた存在だと指摘。新たな展示をめぐっては、「時間の経過から、95年当時のような、第2次大戦の退役軍人からの反発は考えにくい」とみる。
ただ、被爆者の写真や遺品の展示は行われない見通しだ。宮本氏は、「米国のナラティブとして、原爆投下後の街の写真は許容されても、被爆者の写真は受け入れられないだろう」と指摘。「被爆の展示が何もないよりもよくはなるだろうが、現実を伝えているとは言いがたい」と語った。(ワシントン=清宮涼/取材協力=エイダン・リリーエンフェルド)
米国と原爆投下の記憶をめぐる近年の主な動き
1994年 米国立スミソニアン航空宇宙博物館による、広島に原爆を投下した爆撃機エノラ・ゲイとともに被爆資料を展示する計画に対し、退役軍人団体などから撤回を求める運動が起きる
1995年1月 原爆展の事実上の中止が決まる。5月、ハーウィット館長が辞任
2003年12月 エノラ・ゲイを博物館の別館で常設展示。被害の説明はない
2015年11月 ワシントン州ハンフォードなど、戦時中に原爆を製造した「マンハッタン計画」の跡地3カ所が国立公園に指定される
2016年5月 オバマ大統領が現職米大統領として初めて広島を訪問
2023年5月 バイデン大統領が主要7カ国首脳会議にあわせて広島を訪問
2025年 スミソニアン航空宇宙博物館が展示の刷新を予定